暴力・性表現悪影響論について

 最近、ロリ絵が18歳未満だかに見えるだけでなんたら、というのが話題になっていますが。「こんな規制がまたぞろ出ちゃって困ったもんだね〜」という反対派の態度にはあまり感心しない。もちろん規制する側が困ったちゃんばかりなのであろうことは理解できるが、まったく自省を欠いた態度というのも問題だと思うので一応水をさしておく。
 気づいている人は気づいているだろうが、大塚英志香山リカという長年サブカルチャーを擁護してきた代表的な論者が、暴力・性表現に対する批判的な見解を述べるようになってきている。具体的には『新現実vol.3』、『創』(2005年7月号)、『更新期の文学』等での彼らの発言を参照されたい。特に『更新期の文学』では表層的なイメージや瞬間的な行為が、特定の物語構造の中に位置づけられることによって犯罪助長的な効果を持つという意味の見解が暗に主張されている。今後、さらに本格的で緻密なメディア悪影響論が出てくることも予想される。確かに多くのトンデモ言説が跋扈しているが、それらを笑ってすべてが済むようなことはないと、覚悟しておいたほうがいい。それにしてもあの香山リカがほとんど「ゲームの悪影響論」と言えることを唱えているというのに、誰も騒がないのだろうか。