ウラジミール・プロップ『昔話の形態学』

昔話の形態学 (叢書 記号学的実践)

昔話の形態学 (叢書 記号学的実践)

 大塚英志に『サブカルチャー文学論』のあとがきでしかられたので批評や論文の出典に片っ端からあたってみるという作業を細々とやり始めているなんか果てしなく素直で優等生なオレ。まあ、興味のある分野でもあるし。勉強するといったからにはやってやるぜ。『暴力批判論』もちゃんと読みましたよhirosakaさん!
 ソシュールの『講義』にも匹敵する位置を持つ、とか紹介文が裏に書いてあるのだが僕はソシュールを知らないのでいまいちそのすごさの基準が分からない。

 さて、通常僕たちが「文法」と呼ぶのは一つの「文」における構造である。ところが、プロップの研究はひとつの「文」を超えた「テクスト」のレベルにおいても文法があることを明らかにした。
 プロップの研究は、実質的に人間の思考パターン、またそこから派生する僕たちの文化や社会といったレベルにおける活動の「文法」の存在可能性をも開くものである。人間の存在はどこまでが制度化しうるものであり、どこまでが「固有の私」なのか。多くの人々がなんとなく一つの方向に流されていっているように見える現在の状況にあって、この本は自分が組み込まれている「文法」を見極め、それに抗うヒントを示してくれているようにも思える。

追記:堅い学術書の割に誤植が非常に多いのが気になった。出版社に校閲部門ないのかしら? まるで角川スニーカー文庫みたいだね☆