稲田の発言

 特別委員会での稲田委員の発言。id:t-hirosakaさんのところで知った「給食のせいで親族殺しが起きる」と述べたちょっとアレゲな人とまったく同じことを言っているそうなので*1探してみた。

○森山委員長 次に、稲田朋美君。

○稲田委員 自民党稲田朋美でございます。

 いよいよ、戦後六十年を経て、教育基本法の全面改正という時期に来ました。私も、昨年当選したばかりの新人議員ではございますが、この時期にこの場所で、自由民主党の一員として、また立法府の一員として、教育基本法の全面改正の議論に参加できることの責任と使命を果たしたいと考えております。

 さて、今なぜ教育基本法を改正しなければならないのか、一体、現行教育基本法に何が欠けていたのかということでございます。私は、この問題を考えるに当たって、戦後体制をどう見るかという観点を避けて通ることはできないと思います。

 御承知のとおり我が国は、戦後約七年間、連合国の占領下にありました。その占領政策の目的は、二度と日本が連合国の脅威にならないということにありまして、言いかえますと、日本弱体化政策であったわけです。そんな中で制定されましたのが日本国憲法であり、その日本国憲法の精神を生かすための教育基本法であったわけです。そこでは、むしろ日本の伝統的な価値ですとか美徳などはすべて悪もしくは要らないものとされて、西洋的な価値観、個人の尊厳ですとか人権などといったものにのみ価値を置かれて、すべての法制度の改革がなされたと思います。

 戦後六十年たって、では何が起きたのか。六十年前に我が国は原爆を二つも投下されて廃墟になっても、そのときにはあって、こんなに豊かな日本になって失われたものは何だったのか。子供が子供を殺す、小学生が小学生を殺す、親が子供を殺す、子供が親を殺す、高校生が中学生を殺す。それから、人の命を犠牲にしてまで耐震偽装をするような建築士があらわれてしまう。*2日本人は、昔は建築基準法がなくても、自分がつくった建物に誇りと責任を感じて立派なものをつくっていた、そういった民族だったと思います。*3ですから、私は、この教育基本法の改正に当たっては、失われた日本人の心もしくは日本人の美徳、伝統、そういったものを取り戻す改革でなければならないと思います。

 占領は、昭和二十七年の四月二十八日にサンフランシスコ平和条約を受け入れて、我が国は主権を回復いたしました。その三年後に我が自由民主党も立党いたしました。その自民党の立党の「党の使命」でどう書かれているかと申しますと、占領下強調された民主主義、自由主義は、新しい日本の指導理念として尊重し擁護すべきであるが、初期の占領政策の方向が主として我が国の弱体化に置かれていたため、憲法を初め、教育制度その他諸制度の改革に当たり、不当に国家観念と愛国心を抑圧していた。党の政綱の一条では、「正しい民主主義と祖国愛を高揚する国民道義を確立するため、現行教育制度を改革する」というふうに立党の宣言ではなっていたわけです。*4
 私たちはこの場におりますけれども、ここの場にいる私たちだけではなくて、教育改革に取り組んでこられた先人の意思を受け継ぎながらこの教育改革に取り組まなければならないと思っております。

 こういった歴史的な背景から見ましても、教育基本法の改正は、憲法の改正と並んで、戦後体制のゆがみを是正して、失われた日本の伝統と美徳を取り戻す*5、そういった改正でなければならないと考えております。

 そこで政府にお伺いいたしますが、今のような観点からいたしますと、政府の前文の中に、「ここに、我々は、日本国憲法の精神にのっとり、」という言葉が入っていることに私は若干の違和感を覚えるわけでございます。なぜ今、日本国憲法の精神なのか。日本国憲法の精神を生かした現行教育基本法を改正するに当たって、なぜ日本国憲法の精神なのか。その日本国憲法の中には日本の伝統、文化というものの観点は全く入っていないわけですから、この文言を前文に入れるその趣旨についてお伺いいたしたいと思います。

○小坂国務大臣 現行の教育基本法は、日本国憲法に定める理念を教育において具体化するための規定を多く含んでおります。現行の日本国憲法と密接に関連している法律であることから、「日本国憲法の精神にのっとり、」と規定されているわけでございます。改正後も、基本法は、日本国憲法と密接に関連しているというその性格そのものは変わらないわけでございます。

 委員いろいろと御指摘をいただいた中での、日本の美徳として今日我々が認識していたものが失われてきた、そういう御指摘は私も共感する部分もあるわけでございますけれども、今日、日本国憲法の精神と言われる中で、国民主権、それから基本的人権の尊重、平和主義、これらは、日本国民それぞれがやはり尊重すべきものとして重要な認識を持っているわけでございますから、この基本法案におきましても、「個人の尊厳を重んじ、」ということは前文で規定をし、そして、「平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた」「国民の育成」という、第一条にもこれを盛り込んだところでございます。

 憲法の精神を具体化する規定をそのように設けて、この「日本国憲法の精神にのっとり、」という文言を入れたわけでございまして、私は、このような中で、この新しい教育基本法にのっとり、今委員の御指摘があったような、家族としての相和する心とか道徳観の育成というものに努めてまいりたいと存じます。

○稲田委員 それでは、今、憲法改正も議論されているわけですが、新しい憲法ができて、今の憲法につけ加えたいろいろな価値観も盛り込まれるというようなことになった場合、その時点で教育基本法も新しく制定された憲法の精神にのっとっていく、そのように理解してよろしいでしょうか。

○小坂国務大臣 新しい憲法の精神に当然のっとることになると思います。

 もっと具体的に申し上げれば、その改正内容に応じて仮に教育基本法に不整合な箇所が生じたという場合には、当然のことながら改正が必要となる、このように認識をいたしております。

*1:annntonioさんによる

*2:根拠ないよね。というか戦後憲法の精神を全うしたことなんかなかったと思うけどね。

*3:だから、根拠、ないんだね。

*4:「正しい民主主義」ってなんだ。しかもやっぱり「制度」で「祖国愛」を注入しようとしている。そしてそれが「国民道義」だと。わざわざ教え込まなくては持つことのできないような「祖国愛」を「国民道義」と言いつくろうことが「正しい民主主義」であると、そういうことですか。なるほどさすが天下の万年与党、自民党の立党宣言ともなるとたいしたものですなあ(もちろん皮肉だ)。

*5:annntonioさんが指摘していた「戦後体制」なるテクニカルタームだが、いったいなんだろうか。アメリカに文化や伝統を奪われて「弱体化」された体制、という状態を指すとこの発言を見る限りでは言えそうだ。だから親殺し子殺し姉歯が生まれたと。まったく飛躍もここまでくると冗談みたいだ。