村上龍『限りなく透明に近いブルー』

 大学でレポートを書くために読んだ。好みでいったらぜんぜん好きじゃない。でも大塚英志サブカルチャー文学論的視点で眺めるとそれなりに面白い。
 解説を書いてる今井裕康という人は、作品中で述べられる「鳥」というのは現代社会とその構造を暗喩しており、不確かな「私」を脅かすものだ、ということをいっているのだけど、その鳥を殺さなくちゃいけなくて、あるいは自分の影で鳥を包むってことは、要するに「仮想の宮殿や都市」の「外側の現実」なんてないんだ、ないことにしたい、と思ってるのかな。え、つまり現実逃避?限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)