キレる子供はどこにいるのか

http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200608160028a.nwc


 文部科学省は15日、「キレる」子ども対策の一環として、乳幼児が規則正しい生活リズムを身に付けるための取り組みを2007年度から全国の幼稚園や保育所で行う方針を固めた。子どもの生活習慣改善を目指し、06年度から全国45地域の小学校を中心に進めている「早寝早起き朝ごはん」運動を拡大し、新たに全国35地域で、就学前の乳幼児まで対象に含める。07年度予算概算要求に関係経費を盛り込む。

 乳幼児の段階で規則正しい生活リズムが形成されると、情緒的に安定するとの研究結果を受け、「キレる」子ども対策として実施する。

 具体的には、幼稚園や保育所に加え、地元ボランティアや地域の民間非営利団体NPO)、教育委員会の関係者らが連携して取り組み計画を作成し、各地域独自に進めてもらう。

 同省は、各地域の取り組み結果をまとめ、乳幼児にもたらす効果を調査。好事例は全国の自治体や教委に紹介する。

 正確ではないが、「キレる」子供なる表現がメディアに出てき始めたのは酒鬼薔薇事件以降のことだったように思う。僕自身もそうした「キレる」少年たちの世代と目されていたわけで、明示はされなかったが「いのちの教育」のようなものを受けた記憶もある。「まつい・とも」とかいう、絵本を書いている人が話しに来たのだったと思う。
 ところで僕は、大学に入った後に、「キレる子供」ということばがいまだに力をもって流通していることにいささか驚いた記憶がある。というのも「キレる」というのはあくまで酒鬼薔薇事件のショックで生まれ、彼の周辺世代を犯罪予備軍として誹謗するために存在することばだと思っていたからだ。
 ところが気がつけば相変わらず少年犯罪はその実体とは全く乖離した言説によって「凶悪化」・「急増」しているとされ、根拠のない不安が煽られる中で「キレるこども」ということばもまた延命してしまっている。
 率直に問おう、「キレる子供」とはなんだ。そんなものが本当に存在するのか、するというのなら「キレる子供」の定義をはっきりさせ、明確なデータを提示せよ。また、「キレる子供」の問題が実在し、さらにその要因として生活習慣が挙げられることが明確になったとしても、子供個々人の生活習慣には社会情勢や経済状況、親の仕事内容など様々な要素が影響しているはずであり、画一的な食育などで対処するのはかえって多くの問題を隠蔽してしまう可能性が大きい。何よりも個々人の生活習慣に対して強制的な行政の介入は認められるべきではない。