社会改革と社会進化論

 こんにちにおける政治・社会問題のほとんどすべては、社会改革派と社会進化論派の対立として捉えることができる。社会改革派は、自分たちの改革主張をただ述べるだけでなく、社会進化論派の主張と対峙し、その問題点を暴き、説得していく戦略を構築していかなくてはならない。また、今日、社会全体が社会進化論派の発想に毒され、社会改革の発想そのものが弱体化している状況下にあっては、過去の改革運動を批判的に検討し、あらたな「運動」の形式を生み出す必要があるが、そのためには個々のイシューを超えて国家権力のシヴィリアン・コントロールなどをはじめとした、近代民主主義国家としての日本という大上段な議論が不可欠になってくると思われる。それを抜きに議論を進めようとしても、そもそも根底にある思想的発想形態が違うのであるから、その溝を埋めることは至難の業である。
 したがって、個々のイシューでも問題提起しつつ、それをさらに近代思想の根本のような広い領域に繋げていく努力が不可欠である。