二人の女の子・2
去年の11月あたりだったか、タリウムを母親に飲ませた少女の事件があった。
彼女のブログの自己紹介欄には確か「夢と現実の区別をなくしたい高校生」と書いてあったと思う。「夢」ではなくて「虚構」だったかもしれないがそんなことはたいした問題ではない。それからネット上では一人称が「僕」だった*1。
事件があった後、大学が冬休みだったか春休みになる直前に吹雪の中を免許更新のために歩いていった帰り*2、ビデオレンタルと古本のGEOという店によって大島弓子の『つるばらつるばら』を買ったらその作品の冒頭がこれだった。「ぼくは夢と現実の区別がつかない子供だった」。
とっさにタリウムの事件を思い出していた。しかしタリウムの事件と大島弓子のまんがをどうやったら結び付けられようか。しかし、もしも、もしもタリウムの事件が「私」を立ち上げるという意味での文学的な問題だったのだとしたら、両者の抱えているものは結び付けられるような気がする。