二人の女の子・3

 大島弓子の作品「つるばらつるばら」は、継雄という幼い男の子が、いつも夢の中に出てくるとある「家」に行くことを望むところから始まる。その家には「細い道」と「バラの垣根」と「石段」と「木のドア」があり、そしてとある「男の人」がいて、継雄はその男の人と結婚したいと思っている。継雄の母親は継雄の願望を単なる夢、少々突飛な子供らしい発想として受け止める。
 しかし月日がたつと継雄は女性的な志向が強まっていく。幼稚園にはスカートをはいて通い、女性雑誌を買い、モンローウォークで歩く。それに対する母親の否定的な態度によって継雄は自分の趣味や生き方が「男」として問題があると知り、努めて男らしく振舞うようになる。中学2年生*1になった継雄は同姓の布田一成を好きになってしまうが、拒否され、しかもそれが学校じゅうに知れ渡ることになり、自殺未遂をする。生死の境をさまよっている時、前世の夫が死ぬなと呼びかけきて、それと同時に夢の家のビジョンが見える。それによって継雄は自分の前世がたよ子という名の女性であり、夢の中の家にその夫と住んでいたことを知る。そして「死ぬな」という夫の呼びかけは前世のたよ子の死に際に夫が呼びかけたことばだったと悟り、前世の夫を探すことを決意する。*2

*1:「14歳」、ですな。

*2:布田一成を好きになったのも前世の夫に似ていたからだった。