「産む機械」

 おそらく柳澤氏は、「俺はこんなに経済学的にリアルな思考でものを考えてるんだぜ」という風に気取って見せたかったのだろう。ちょっと知的に突き放した言い方をすることで自分のインテリジェンスを自慢しようとするというのはよくある。
 ただ、どうだろうか。彼の言うことが「経済学的にリアル」なものなのかはよくわからないが、「産む機械」という例え自体がやはり下劣なものだし、公の説明として失格、大臣のことばとして失格、歴史的文脈で考えて失格、といえると思う。
 僕が最近ぼんやり疑問に思っているのは、そもそも出産という一般的に言ってかなりプライベートな問題に対し、国家が「少子化問題」という旗の下に躊躇なく口出ししているということで、あまり「民意を汲み取った上で」という風にも見えない。何しろ「健全」とか普通に言ってしまうのだから。
 さすがに「産め」とはっきり言うことは出来ないように思うのだが、「これが健全なんですよ」と言いつつ、徐々に網を掛けてくるかもしれない、という心配はやはりある。

 追記:産む機械といえば、ヒトブタを使って産ませられるようになるかもしれない。臓器移植にも使える。僕は出産を動物に代わってもらうのは認められないけど、技術だけならもうすぐできるように思うし、そうすれば実行する人も出てくるだろう。すごい話だ。